
子供がスポーツ少年団に入ったのをきっかけに、コーチを手伝うことになりました。

競技経験はあるけれど、今の子供たちにどう接すればいいのか戸惑っています。
そんなパパ・ママコーチの皆さんは多いのではないでしょうか。
私はこれまで8年間、ボランティアとして少年サッカーの指導に携わってきました。JSPO公認スポーツ指導員の資格も持っていますが、現場で最も大切だと感じたのは、高度な戦術や技術指導ではありません。
それは、今の時代に合わせた「指導のアップデート」と、関わる大人たち全員が持つべき「リスペクトの精神」です。
私が経験してきたのはサッカーですが、この心得は野球、バスケットボール、バレーボールなど、すべてのジュニアスポーツに通じる本質だと言えます。
子供たちがスポーツを通じて自立し、将来の「さばいぶ(生き抜く)」力を育むために、大人が守るべき鉄則をまとめました。
執筆:ちゃむ隊長(運営管理)
さいたま市を拠点に活動する現役タクシードライバー。情報ジャングル探検隊「さばいぶ」を運営しています。8年間の少年サッカー指導(JSPO公認コーチングリーダー)で培った「分かりやすく伝える力」と、日々の乗務で得た「現場の生きた知恵」を、探検家のような視点で発信中です。
令和の指導現場に求められる「意識のアップデート」
昭和や平成の初期とは異なり、現代のジュニアスポーツ指導には明確な「正解」の変化が求められています。
まずは、指導者自身のマインドセットを最新の状態に更新することから始めましょう。
罵声は逆効果!「褒めて伸ばす」が子供のやる気を引き出す

一昔前は、ミスに対して指導者が怒鳴り声を上げ、恐怖心で子供を動かす光景も珍しくありませんでした。しかし、今の時代にそれは通用しません。
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ナイスチャレンジを言葉にする:
成功したときだけでなく、たとえ失敗しても「今の狙いは良かったね!」とプロセスを認める声掛けが重要です。
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「明日もやりたい」と思わせる:
厳しい練習の先にある達成感も大切ですが、まずは子供たちが「明日もグラウンドに行きたい」と思える安心感のある環境を作ることが、ボランティアコーチの第一歩です。
ハラスメント防止とコンプライアンスの遵守
昨今はコンプライアンスへの意識が非常に厳しくなっています。指導者が感情を爆発させることは、チームの信頼を失うだけでなく、子供たちの心を折ってしまうリスクがあります。
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指導者の立ち振る舞いがチームの顔:
コーチの言動は、子供たちだけでなく保護者や地域の方々からも常に見られています。
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常に学び続ける姿勢:
自分の経験則だけに頼らず、最新のスポーツ指導論やハラスメントの知識を取り入れ続けることが、子供たちを守ることに直結します。
JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会)が運営しているサイトでは、「スポーツ現場におけるハラスメント防止動画」が紹介されています。

忙しくて様々な講習会などへ参加するのが難しくても、JSPOが運営している動画を閲覧することは、十分「学びの場」になると思います。
「教えない」指導で子供の「生き抜く力(さばいぶ)」を育む
スポーツの現場では、ついつい「答え」を教えたくなってしまうものです。しかし、ボランティアコーチこそ意識したいのが、あえて「教えすぎない」というスタンスです。
指示を「問いかけ」に変えるコーチング技術

ピッチの脇から「右だ!」「パスしろ!」と具体的な指示(ティーチング)を出し続けてしまうと、子供たちはコーチの顔色をうかがって動くようになってしまいます。
大切なのは、子供自身に考えさせる「コーチング」の視点です。
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「指示」を「質問」に置き換える:
プレーが止まった際などに、「あそこへ走れ!」と命令するのではなく、「今、どこが空いていたかな?」と問いかけてみてください。
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本人の気づきを待つ:
問いかけによって子供が「あ、あっちにスペースがあった」と自分で気づくことができれば、それは一生忘れない知識になります。
「あそこへ走れ!」ではなく「どこが空いていたかな?」と聞く理由
大人の目線からは正解が丸見えでも、子供の視点からは全く違う景色が見えています。
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視野の共有:
コーチが見ている「正解」を押し付けるのではなく、子供が「何を見て、どう判断したのか」を確認することで、子供の判断基準を尊重しながら伸ばしていくことができます。
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主体性の育成:
自分で見つけた答えは納得感が強く、次のプレーへの自信に直結します。
自分で判断した成功体験が、将来の自立に繋がる
スポーツを通じて学んでほしいのは、技術だけではありません。目まぐるしく状況が変わる中で「今、自分はどうすべきか」を判断するプロセスは、まさに人生をさばいぶ(生き抜く)力そのものです。
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失敗も貴重なデータ:
自分で判断して失敗したなら、それは次に活かせる貴重な経験になります。大人が失敗を先回りして防いでしまうと、この成長の機会を奪うことになりかねません。
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自立した大人への第一歩:
自分で考え、判断し、実行する。この繰り返しが、スポーツの枠を超えて、将来社会に出たときの大きな武器になります。
【鉄則】チーム崩壊を防ぐパパ・ママコーチの「境界線」
ボランティアコーチとして参加する際、最も気をつけなければならないのが「運営の聖域」への立ち入り方です。
ここを誤ると、どれだけ熱心に指導していてもチーム内に不協和音が生じてしまいます。
試合のメンバー選考は「主任コーチ」に一任する
パパ・ママコーチとしてチームに関わる以上、どんなに客観的になろうとしても「我が子」や「親しい子の親」としての視点を完全に消すことは難しいものです。
だからこそ、試合のメンバー選考やポジション決めには、一切口を出さないのが鉄則です。
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権限の明確化:
選考の全責任は主任コーチが持つという形を徹底します。
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一歩引く勇気:
意見を求められない限り、パパ・ママコーチは選考のプロセスから距離を置くことが、チームの規律を守ることに繋がります。

私がパパコーチとして参加した少年団チームでは、卒団生のパパの中からそのまま指導者としてチームに残り、他学年の主任コーチを務めてくださる形で運営されていました。
子供は卒団してるのにチームに残る…、感謝でしかありません。
なぜ選考への口出しが、保護者間の深刻なトラブルを招くのか
もしパパ・ママコーチが選考に関与していると思われると、周囲の保護者から「自分の子を贔屓している」「仲の良い子の親に忖度した」といった疑念を持たれるリスクが常に付きまといます。
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不信感の連鎖:
一度生まれた疑念は、指導者間だけでなく保護者同士の対立にまで発展し、最悪の場合はチーム崩壊を招きます。
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子供への影響:
大人のギスギスした空気は、必ず子供たちにも伝わります。
誰よりも子供たちのために集まっているはずが、大人の都合で子供の居場所を奪うことになりかねません。
公平性を保つことが、自分自身と子供たちを守る最大の防衛策
「選考は主任コーチに一任している」という明確なルールがあることは、パパ・ママコーチ自身の身を守ることにもなります。
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説明責任の所在:
他の保護者から不満が出た際も、「方針は主任コーチが決めている」という共通認識があれば、個人が批判の矢面に立つことを防げます。
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我が子へのフェアな評価:
選考を第三者に任せることで、自分の子供に対しても「一人の選手」として正当な評価が下される環境を作ることができます。
スポーツ少年団を支える「互いへのリスペクト」の精神
スポーツ少年団は、プロのクラブチームとは異なり、団長から主任コーチ、パパ・ママコーチに至るまで、全員が自分の時間を削って活動しているボランティア組織です。
この特殊な環境で最も大切なのは、お互いを尊重し合う「リスペクト」の精神に他なりません。
「全員がボランティア」という原点に立ち返る
私たちは皆、子供たちの成長を願って集まった仲間です。しかし、活動が長くなると、ついつい自分たちの負担を棚に上げて、他人の動きに目が行きがちになります。
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「やって当たり前」ではなく、感謝を言葉にする文化を作る:
誰かが練習の準備をしてくれたとき、審判を引き受けてくれたとき、「ありがとうございます」の一言を添えるだけで、チームの空気は劇的に変わります。
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相互理解の重要性:
家庭の事情や仕事の都合は人それぞれです。参加できる範囲で全力を尽くしている仲間を、互いに認め合う心の余裕を持ちましょう。
「やって当たり前」を捨て、感謝を言葉にする文化を作る
「感謝」は思っているだけでは伝わりません。
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ポジティブな声掛け:
指導者間でも、良い練習メニューや子供への接し方を見かけたら、積極的に褒め合いましょう。大人の関係が良いチームは、必ず子供たちも伸び伸びとプレーします。
役割に貴賤なし!技術指導以外の貢献を正当に評価しよう

「自分は競技経験がないから、コーチとして役に立てない」と引け目を感じる必要は全くありません。チームの運営には、サッカーの技術指導以外にも不可欠な役割がたくさんあるからです。
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「ボール拾い」が練習の質を底上げしている:
練習中に遠くへ飛んだボールを拾ってくれる人がいなければ、練習はたびたび中断してしまいます。スムーズな練習環境を作ってくれる人は、立派な「チームの支え」です。
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「怪我の処置」という専門性:
子供の急な怪我や体調の変化にいち早く気づき、適切に応急処置ができる大人がいることは、チームにとって大きな安心材料です。

私はサッカー経験もなく、最初はゴール裏の「ボール拾い」から始めてみました。
そのうち、主任コーチから「一緒に子供たちとやりませんか?」と声を掛けられ…
サッカー4級審判員資格を取得し、JSPO公認スポーツ指導員資格を取得し、毎週末に子供たちに合うのが楽しみになりました。
「ボール拾い」や「怪我の処置」が練習の質を底上げしている
現場を支えているのは、華やかな技術指導だけではありません。
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縁の下の力持ちを称える:
「あの人はボール拾いしかしていない」といった陰口は、チームにとって百害あって一利なしです。どんな些細な手伝いも、子供たちの笑顔に繋がっていることを忘れてはいけません。

本業が看護師さんのママさんもいたりして。
ケガの処置が素早い姿をみて「流石だな~」って思いました。
まとめ|指導者の「背中」こそが子供たちにとって最高の教科書
8年間にわたり少年サッカーの現場に携わってきて痛感するのは、子供たちは大人の言葉以上に、その「振る舞い」を驚くほどよく見ているということです。
指導者がミスをした子を励ましていれば、子供たちも仲間を思いやるようになります。
大人が互いにリスペクトし合い、裏方の仕事に感謝を伝えていれば、子供たちも道具や環境を大切にするようになります。
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「さばいぶ」力を育てるために:
私たちが教えられる技術には限りがあるかもしれません。しかし、大人が学び続け、失敗を恐れず、他者を尊重する「背中」を見せることは、子供たちが将来社会を生き抜くための最強の教科書になります
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ボランティアだからこそできること:
「教える」のではなく、共に「育つ」。 これからボランティアコーチを始める皆さんも、ぜひ肩の力を抜いて、子供たちと一緒にグラウンドでの時間を楽しんでください。
その一歩が、子供たちの未来を明るく照らす光になるはずです。


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